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駅すぱあとアンテナ(メールマガジン)

2014年9月号








旅先で味わい深い駅舎と出会うと、どこか得した気持ちになる。到着した時点で、その地のひとつめの名所に訪れているといってもいいだろう。そんな駅舎の数々をご紹介しよう。

まずは石川県の金沢駅。2015年春には北陸新幹線の延伸によって大いに注目され、国内外を問わず多くの観光客がやってくるはずだ。そんな金沢の玄関口として機能する金沢駅の東口は、2005年に大規模なリニューアル工事を終えている。

正面に構えているのは木製の「鼓門(つづみもん)」。らせん状に組まれた2本の柱は、この地の伝統芸能である能楽・加賀宝生で用いられる鼓をモチーフにしたもので、日本らしい重厚な風合いが魅力だ。夜になるとライトアップされ、幻想的な美しさに包まれる。

鼓門の奥に広がっているのは、観光で金沢を訪れた人に雨傘を差し出すおもてなしの心をイメージしたガラスドーム「もてなしドーム」。

3019枚ものガラスが使われており、立体トラス構造ゆえ中央部分に柱がない。広々としたスペースを活用したイベント等も随時行われている。この未来的なドームと、伝統を感じさせる鼓門の調和が見事だ。

ちなみに金沢駅は、米国の大手旅行雑誌「Travel+Leisure(トラベルレジャー)」のウェブサイトに掲載された記事「世界で最も美しい駅」14選に、フランスのパリ北駅、イギリスのセント・パンクラス駅、マレーシアのクアラルンプール駅などと並び、日本から唯一選出されている。

一方、九州の鉄道における玄関口といえば、レトロ感たっぷりの門司港駅。明治24年、ドイツ人技師のヘルマン・ルムシュッテルの監修によって「門司駅」として建てられ、大正3年に200mほど移して現在の場所に建て替えられた。ネオ・ルネッサンス調の木造建築のたたずまいは、訪れる人すべての心に響く美しさを供えている。

その外観だけでなく、青銅製の手水鉢や当時としては珍しい水洗式のトイレ、大理石が用いられたハイカラな洗面所も見どころのひとつ。駅舎としては日本初の重要文化財に指定されたこともうなずける。

しかし、建物の老朽化が進んでいるのも事実。そのため、現在は補修工事が行われている。現在は仮駅舎が使われ、駅前広場にも囲いが設置されているが、ホームは通常どおり利用されている。駅内にある手水鉢や関門連絡船跡、大正3年に開設された水飲み場「帰り水」を見ることも可能だ。

現駅舎は建物の骨組みを残して一旦解体され、傷んだ部材の補強を行ったうえで再び組み立てられることになる。工事期間は2018年3月末までの予定。重要文化財の保存修理工事のため、建物のデザインが大幅に変わることはない。新しい門司港駅が、どんな姿を見せてくれるのか楽しみだ。

■金沢駅 鼓門・もてなしドーム(金沢市観光協会)
http://www.kanazawa-kankoukyoukai.gr.jp/spot_search/spot.php?sp_no=675


■門司港駅(門司港レトロインフォメーション)
http://www.mojiko.info/3kanko/spot_eki.html
60年ぶりの大遷宮となった昨年の出雲大社。参拝客も過去最高を記録したという。その最寄駅が、山陰を走る一畑電車大社線の出雲大社前駅だ。

同駅の開業は昭和5年。当初は大社神門駅という名称で、昭和45年に出雲大社前駅に改称。平成8年には国の登録有形文化財に、平成21年には近代化産業遺産に登録されている。駅舎は鉄筋コンクリートの平屋建てで、半円形の屋根が独特の温もりを放っている。内装は、白塗りの壁に高い天井、窓はステンドグラスで装飾されている。まるで教会のようだ。駅にはカフェも隣接していて、洋風レトロで洒落た雰囲気が心地よい。

しかしなぜ、出雲大社のお膝元というべき駅が、このように洋風になったのだろうか?あくまでも推測だが、かつてこの地にあった、威風堂々とした和風建築の駅との差別化を図ろうとしたのかもしれない。

その駅の名は、大社駅という。明治45年、国鉄大社線の駅として発足。大正13年に和風建築の粋を集めた二代目駅舎が竣工している。最盛期には東京や大阪から急行列車が直接乗り入れていたため、賑わいをみせていた。しかし平成2年、乗降客が減少した大社線の廃止に伴って、その役割を終えている。

その大社駅は、観光名所「旧大社駅」として第二の人生を歩んでいる。純日本風の木造平屋建てだが、天井は驚くほど高い。そこには大正期に流行した灯篭型の和風シャンデリアが玄関口を含めて30個備え付けてある。かつて使われていた、皇室の勅使をもてなすための貴賓室や、出雲大社の大鳥居がみえるホームも残っている。屋根は、千鳥破風、鴟尾(しび)、懸魚(げぎょ)といった社寺建築の形式が随所にみられる。かつて旧事務所だったスペースには喫茶店があり、大正ロマンな雰囲気の中、ひと息つくことが可能だ。

出雲大社を詣でる機会があれば、ぜひこの2つの駅舎も訪ねてみてほしい。

■出雲大社前駅(一畑電車)

http://www.ichibata.co.jp/railway/operate/stations/00.html


■旧大社駅(出雲観光協会)
http://www.izumo-kankou.gr.jp/172

ではここで、思わず「エッ!?」と驚いてしまうような、珍しい駅舎を紹介してみよう。まずはJR五能線の木造駅だ。

列車で駅に辿りついた瞬間は、特に驚きもない。しかし一旦、駅の外に出て振り返ると、巨大な土偶の像に圧倒されることだろう。これは、地元の観光名所となっている亀ヶ岡石器時代遺跡から発掘された遮光器土偶がモチーフ。

そのインパクトから「東北の駅百選」にも指定されている。列車の発着時に目が光る仕様になっているが、一説によると子ども達が怖がるとの理由で現在は光らないようになっているのだとか。しかし、愛称は「しゃこちゃん」。至って可愛げだ。

続いては、群馬県にあるJR上越線の土合(どあい)駅。駅舎の外観は、平屋構造の建物中央に巨大な三角形がはめ込まれた形をしている。珍しいといえば珍しいかもしれないが、土合駅の真髄は地下にある。

上りホームは地上にあるのだが、下りホームは新清水トンネル内にあるため、地上の駅舎からだと486段の階段を下りなければならない。その所要時間は、なんと約10分。しかも、ほぼ一直線のため、まるでSF映画の中に入り込んだかのような錯覚を抱かせる。健脚な方は、ぜひ訪れてみてはいかがだろう。

愛知県と長野県を結ぶJR飯田線の東栄駅もおもしろい。列車に乗り、初めてこの駅に辿りついた人は、例に漏れず笑みがこぼれることだろう。2つの建物が傾いてぶつかったような駅舎だ。

しかし城壁の部分をよく見ると、目のようなものが2つあり、全体的に"顔"に見えなくもない。実はこの駅舎、地元・東栄町で行われる重要無形民俗文化財「花祭」で使われる鬼の面をモチーフとしたデザインになっている。なお駅舎には「ふるさと文化交流館」と喫茶店「ちゃちゃカフェ」が併設されている。

飯田線といえば小和田駅や金野駅、田本駅など秘境駅の宝庫としても知られているが、東栄駅もぜひ覚えておきたい駅舎のひとつだ。

【 鉄道 】
JRは、JR時刻表2014年9月号の内容に対応
私鉄および公営は、2014年9月1日現在の時刻表に対応

 
大阪市交通局
2014/8/30 千日前線 ダイヤ改正に対応
東京都交通局
2014/9/1 日暮里・舎人ライナー ダイヤ改正に対応
近畿日本鉄道
2014/9/13~2014/9/20 
大阪線、名古屋線、山田線、鳥羽線 臨時ダイヤに対応
近畿日本鉄道
2014/9/21
奈良線(八戸ノ里~瓢箪山間)の高架化に伴う東花園駅営業キロ変更および一部運賃変更に対応
札幌市交通局
2014/10/1 消費税率引き上げに伴う運賃改定に対応
その他の改訂情報は駅すぱあとワールドをご覧ください。

次回2014年10月号は、2014年9月24日(水)配信予定です。お楽しみに!
「駅すぱあとアンテナ」2014年9月号
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発行  株式会社ヴァル研究所 http://www.val.co.jp/
発行日 2014年8月27日(水)
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