中央アルプスと南アルプスがそびえ、その中心に天竜川が悠々と流れる長野県辰野町。自然に恵まれたこの地の「松尾峡」は、古くからホタルの里として知られている。大正15年には県の天然記念物に指定されたが、昭和30年代から工場廃水などの河川の汚れでホタルの数が減少。そこで水質向上を促す工事がなされ、休耕田にはホタルの生息できる水路が作られた。努力は実り、やがてホタル達は帰ってきた。
毎年6月上旬の宵になると、ひとつ、ふたつと光が舞いはじめ、6月中旬にはピークを迎える。昨年もっとも発生目撃数が多かったのは6月20日で、その数、じつに6143。日本有数のホタル鑑賞スポットといえるだろう。辰野町のホタルはゲンジボタルが中心。さまざまな光の軌跡を描くホタル達の乱舞は、なんとも贅沢な宵の饗宴だ。 |