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駅弁ひとり旅・こぼれ話

第52話

十勝地方の中心地、帯広に到着だ。
菜々ちゃんは十勝は初めてかい?

ええ、初めてよ。
北海道はこれまで函館と札幌には来たことあるけど、
それ以外の北海道は初めてなの。それにしても、
十勝って風景が広いね。気持ちがいいわ。

大介 : うん。北海道の中でも十勝平野が一番雄大だね
菜々 : ポプラや杉の並木や、チョー広い畑とか、まるで外国の風景だよね。
大介 : うん。明治時代に開拓されたんだけど、並木は強風を避けるために植えられた
防風林が今になって大木になったわけだし、
畑も大きな四角形で区画したからヨーロッ パの畑のようだ。
菜々 : 十勝地方ではどんな農作物がとれるの?
大介 : 代表的なのが、ジャガイモ、アズキ、テンサイ、ハッカ……。
菜々 : ハッカって、ミントのことでしょう? え? 植物なの? 畑でとれるんだ。
大介 : そうだよ。ハッカってね、薄荷って書くんだ。シソ科ハッカ属の植物で、
葉からハッカ油がとれるのさ。
菜々 : 大ちゃんって、本当に物知りね。天才だわ! ところで、テンサイって何?
大介 : 甜菜って書くんだけど、英語ではビート。
地中海沿岸地方が原産の糖分が多い大根のこと。
だから日本では、サトウダイコンとも呼ばれるよ。
菜々 : ふーん。ジャガイモ、アズキ、テンサイ、ハッカ……、十勝ってすごいね。
(グッグーとお腹が鳴る)
菜々 : あ、美味しいもの想像したらお腹が鳴っちゃった。大ちゃん、帯広の駅弁は?
大介 : 待ってました! まずは帯広名物の、ぶた八の「豚どん」。豚丼って、米国産牛肉の
BSE問題で、牛丼の代わりになって一躍全国的にポピュラーになったけど、
帯広では昔からたいていの食堂にある庶民的な食べ物さ。
中でも「ぶた八」の「豚どん」は、十勝産の豚ロースを炭火で焼くのが特徴。
秘伝のタレとあいまって、最高の味わいだね。
菜々 : こちらは、「とかち収穫弁当」ですって。わー、ご飯の上に豚肉ものってるし、
その周りは野菜がいっぱいだ。トウキビ、ナス、カボチャ、レタス、トマト、しいたけ、
大根、ニンジン、さくら大根、昆布……。まさに収穫弁当だわ。
大ちゃん、豚肉ばかり食べてちゃだめよ。野菜も食べなさい!
あれれ、ブーブー言いながら「豚どん」夢中で食べてる。もしかして共食い?