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駅弁ひとり旅・こぼれ話

第104話

鶏めし弁当

ねえ、大ちゃん。高崎の駅弁と言えば?

うん。色々あるけどね、僕は「高弁の鶏めし」!

菜々 : えー! ホント? 私は高崎といえば、「だるま弁当」だと思ってたわ。子供のころから。
大介 : うん。確かに、高崎といえば「だるま弁当」って人は多いけど。
菜々 : でしょ、でしょ。断然、赤い「だるま弁当」よ。
大介 : 赤? そうか、菜々ちゃんの年代だと赤いプラスチックのだるまさんだね。
菜々 : え? 大ちゃんの年代だと赤くないの?
大介 : ううん。赤いプラの「だるま弁当」は昭和48年からだから、
もちろん僕の時代もそうなんだけど、家にあったんだよね、
それ以前の瀬戸物「だるま弁当」の容器が。
両親が買ってきたものだろうけど、そのイメージが強烈で、僕は食べられなかった。
菜々 : どうして? 食いしん坊の大ちゃんなのに?
大介 : 怖かったんだよ。だるまさんの顔が。
菜々 : プー! 大ちゃんが怖がるなんて可笑しい! あ、わかった! 
その怖いだるまさんて、リバイバル駅弁の「復古だるま弁当」のことね。
確かに、あれは子どもにはコワイかも。
大介 : でしょ、でしょう!
菜々 : それで「鶏めし」が好きになったのか。たしかに、パッケージのヒヨコの絵が可愛いわ。
これ、すごくアンティークな絵だけど……。
大介 : 少なくも僕が子供のころから今まで同じパッケージだよ。
だから今でも「鶏めし」食べるたびに、子供のころ、
両親と旅行した思い出がよみがえってくるのさ。
菜々 : そっか、大ちゃんにとっては、思い出の駅弁なのね。
大介 : それだけじゃないよ。いいかい、同じ値段の駅弁があったとする。
一つは瀬戸物の立派な容器。もう一つはオーソドックスな経木の箱のお弁当箱。
さあ、菜々ちゃんだったら、どっちにする?
菜々 : ウーム難しい選択だわ。でも、値段が一緒なら、瀬戸物の容器にする。
だって、容器がオマケみたいなものじゃない。
あとで植木鉢とか貯金箱とかに使えるから。
大介 : 僕の考え方は違うんだな。瀬戸物の立派な容器と経木の普通の箱。
値段が同じなら経木の箱のお弁当を選択するよ。なぜなら、立派な容器だと、
容器代かかってるから、お弁当の中身は経木の普通の箱のほうがいいはず。
菜々 : 大ちゃん、そんなこと子供のころに考えてたわけ?
大介 : うん。真剣に。
菜々 : まあ! ずいぶん、おマセちゃんだったのね。