
今年もたくさんの観光列車や新型車両がデビューする中、2つの周遊型観光列車に注目したいと思います。
各地を周遊する列車は「ななつ星in九州」「TWILIGHT EXPRESS瑞風」「TRAIN SUITE四季島」と、いずれも豪華さが伴った寝台列車でした。今年デビューする2つの列車は、それらとは少々異なるコンセプトとなります。

まずは2020年秋に運行が始まる、九州を周遊する観光列車「36ぷらす3」。なんとも珍しいネーミングですが、九州は世界で36番目に大きな島であり、そこに「3」を足して「39(サンキュー)」、すなわち感謝の輪を広げていきたいという想いが込められています。
車両は、787系電車を使用。特急「かもめ」「にちりん」などとして現在も九州各地で活躍していますが、その車両をベースに水戸岡鋭治氏がデザインを担当。外観はダークグレーに、車内はホテルを思わせる落ち着いた空間に仕上がります。クルーズトレインならではのビュッフェも復活し、車内で九州各地のグルメを満喫することが可能。なお座席はグリーン車となります。

寝台列車ではないため「ななつ星in九州」などと比べるとリーズナブル。曜日ごとに運行ルートがあり、そのつど到着する駅で下車して泊まります。
月曜日は博多から佐賀、長崎ルート(往復)。木曜日は博多から熊本、鹿児島中央ルート。金曜日は鹿児島中央から宮崎ルート。土曜日は宮崎空港・宮崎から大分・別府ルート。日曜日は大分・別府から門司港を経由して小倉、博多ルート。それぞれのルートを単独で利用することもできますし、木曜日から日曜日までの各ルートを乗り継ぐと、博多を出発してぐるりと九州を一周し、博多に帰って来ることができます。九州の魅力を味わい尽くす鉄道旅行となることでしょう。

もうひとつの周遊型観光列車は、北海道を巡る「THE ROYAL EXPRESS ~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~」です。8月14日(金)から約1カ月間、計5回運行されます。
「THE ROYAL EXPRESS」と聞いてピンときた方もいらっしゃると思います。同列車は伊豆を走る観光列車として2017年7月にデビューしました。このたび、JR北海道と東急電鉄がタッグを組み、「THE ROYAL EXPRESS」での北海道周遊が実現することになります。
車内は、組子などの伝統工芸やステンドグラスなどが施されたダイニングカーをはじめ、北海道のダイナミックな自然を満喫できる展望車、本棚を備えたライブラリーなど、贅沢な空間が広がっています。

なお、同列車にも寝台がなく、行く先々で宿泊するプランとなります。初日、札幌駅を出発した列車は帯広・十勝へ。十勝川温泉の宿でゆったりと過ごします。2日目は、釧路駅を経由して知床へ。知床五湖の散策やクルージングなど、観光プランを選択することが可能です。
3日目は、北見駅を経由して旭川駅へ。専用バスに乗り、美瑛の美しい景色を車窓から眺めながら富良野のリゾートホテルにアクセスします。4日目は、旭川から札幌へ戻り、北海道周遊の旅は幕を閉じます。ワインパーティーや、オホーツクの海を眺めつつの魚介系朝ごはん、北見名産のハッカのワークショップや、十勝での農場ピクニックなど、旅の見どころも実に豊富です。
夏の北海道を満喫できる鉄道周遊の旅へ、ぜひ出かけてみませんか?