
次なるスポットは、岐阜県。ひとえに岐阜といっても広いですが、今回は長良川流域に注目してみました。
長良川流域を走る沿線といえば、第三セクターの長良川鉄道。岐阜県美濃加茂市の美濃太田駅と、郡上市の北濃駅を結ぶローカル線です。

全38駅のうち、きっぷを販売している駅は7駅のみ。多くが無人駅で、すべての駅に改札はありません。車窓から望めるのは、長良川の清流と、鮮やかな山の緑。ただひたすら、のどかで牧歌的な風景が続きます。その一方で、沿線には旧中山道太田宿のある美濃加茂市や、美濃和紙と"うだつのあがる町並み"で知られる美濃市、郡上おどりで有名な郡上八幡がある郡上市など、独特の歴史を持つ名所も点在しているところが魅力です。
そしてなにより素晴らしいのは、桜の季節。列車に乗りながら、存分に桜を楽しむことができるんです。
長良川に架かる橋沿いの桜並木をはじめ、ホーム脇に咲く桜が独特のアーチを描く、みなみ子宝温泉駅、桜はもちろん季節によっては藤やアジサイ、サルビアなど季節の花々が出迎えてくれる湯の洞温泉口駅など、次から次へと「写真に収めたい!」と感じるような桜が現れます。古びた駅舎とのコントラストも、ぜひ満喫してください。

そんな長良川鉄道の新たな顔として、観光列車「ながら」の運行が4月27日(水)より始まります。金曜・土曜・休日・夏休み等を中心に、年間計150日程度の運行を予定。美濃太田駅~北濃駅間を走ります。
「ながら」のネーミングは、もちろん長良川が由来。これまで数々の車両を手掛けてきた第一人者、水戸岡鋭治氏がデザインを担当しました。外観のカラーリングは、春の新緑や清流の青、冬の雪景色と鮮やかなコントラストを描くロイヤルレッドが基調。車内は、ご当地の木材をふんだんに使用し、明るい雰囲気に仕上げられています。
同列車は観光車「あゆ」と食堂車「もり」の2両編成。食堂車では、沿線の山の幸や川の幸を取り入れたランチやスイーツに舌鼓を打つことができます。ランチプランやスイーツプランだけでなく、食堂車を利用しないビュープランもあり、その際は乗車区間運賃プラス乗車整理券500円で乗車することができます。公式サイトで事前予約してから出かけましょう。

観光列車「ながら」の運行が始まる頃には桜のシーズンは終わっていますが、別の"華とグルメ"が観光客をもてなします。毎年5月11日からは、かの有名な長良川の鵜飼がスタート。長良川鉄道沿線の関市でも、1000年以上の歴史を誇る「小瀬鵜飼」が始まります。
この頃から食卓に上るのが、長良川産の天然鮎。春から初夏にかけての鮎は、夏の鮎に比べると小さめではありますが、骨が柔らかいこともあり、頭から尻尾までまるまる食べられます。身が締まる夏を経てからは子持ちの鮎ならではの味わいがあり、季節に応じてさまざまな味覚をもたらしてくれる魚です。
獲れたて新鮮な鮎の味は、やっぱり現地ならではのもの。流域の旅館では、塩焼きはもちろんのこと、てんぷらや炊き込みご飯など、様々な鮎料理を提供しています。

"華"を楽しみたいのなら、美濃白鳥駅からバスでアクセスできる「ひるがの高原 牧歌の里」がおすすめ。花畑の広さは約4.5haを誇り、「チューリップ・シバザクラ・クレオメの畑」「ラベンダー・サマーラベンダーの畑」「教会の畑」「夏の畑」の4つのゾーンに分けられています。今シーズンは4月20日(水)の開園予定です。花だけでなく、飛騨牛などを堪能できるグルメスポットや、手作り体験ができる工房、牛や馬、羊、アルパカなどの動物と一緒に遊べるエリアなどもあり、家族揃って一日楽しめるようになっています。
桜の咲く季節に行くもよし。新たな観光列車に乗って鮎や季節の花を楽しむ旅に出るもよし。豊かな自然の恵みを、心ゆくまで楽しんでください。