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駅弁ひとり旅・こぼれ話

第94話

地鶏ゆず味噌焼き弁当(福島駅)

ねえ、大ちゃん、山形新幹線「つばさ」号が走っている
福島~米沢間て、日本一、急勾配の峠なんですって?

うん。正確には幹線鉄道の日本一だよ。最大38パーミル。

菜々 : パーミルって?
大介 : 百分率がパーセント、千分率がパーミルさ。鉄道の勾配表示は昔から千分率。
つまり、1000m進む間にどれだけ上昇するのかを
表しているんだ。
38パーミルは、1000分の38だね。
菜々 : 幹線以外では、もっと急勾配はあるの?
大介 : うん。ローカル線の飯田線には40パーミル。箱根登山鉄道には、80パーミル。
大井川鐵道の井川線は90パーミル! 90パーミルが日本一さ。
菜々 : 1000分の90か。すごーい!
大介 : でも、世界にはもっとすごいのがある。スイスのピラトゥス鉄道は、480パーミル!
菜々 : え? 1000m進む間に480mも上っちゃうの? ウッソー!
大介 : 本当だよ。登山電車の長さが20mだとすると、電車の前と後、
つまり運転士と車掌のいる場所は9.6mもの標高差があるのさ。
菜々 : 9.6mですって? 信じられない。

大介 : でもね、幹線鉄道では福島~米沢間の板谷峠越えが世界一の急勾配なんだよ。
菜々 : え? 世界一が山形新幹線なの?
大介 : うん。こればっかりは、世界も広いから絶対とは言い切れないけど、
ヨーロッパ・アルプスを貫く幹線鉄道では、もっとも急勾配なのが、
オーストリア国鉄の31パーミル。
アメリカ大陸にも374パーミルなんていうすごい登山鉄道はあるものの、
幹線は25パーミルが最大だから、やはり、板谷峠が幹線鉄道世界一急勾配で
決まりだね。
菜々 : ふーん。すごいね! ところで、私としては、千分率とかパーミルよりも、峠といえば、
力餅に興味津津なんだけど。
大介 : ハッハッハ! 僕もだよ。板谷峠といえば、峠駅の力餅!
菜々 : ねえねえ、どーして、力餅は峠駅なの? 
山形新幹線「つばさ」号は峠駅に停まらないから、
各駅停車に乗らない限り買えないじゃん。
大介 : そこが、峠駅の力餅の力餅たるところじゃないかい?
もともと、板谷峠は、山形新幹線開業前までは、赤岩、板谷、峠、大沢と
4駅連続スイッチバックだった。
蒸気機関車時代には、各駅で一息ついてエネルギーを蓄えないと、
一気には登れなかった。蒸気機関車だけじゃなく、人間も、
お餅で力をつけたのさ。だから、
峠駅で買ってこその、峠の力餅ってわけさ。
菜々 : そうか、なーるほど。では、峠の力餅、いたらきまっす!
大介 : オイラも、パク!