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駅弁ひとり旅・こぼれ話

第93話

「小原庄助べんとう」

ねえねえ、大ちゃん! 郡山駅の名物駅弁って、
「小原庄助べんとう」
ですって? 私、笑っちゃった!
民謡の朝寝、朝酒、朝湯の人でしょ?

うん、そうだよ。今回はね、磐越西線の車内で、
土地のお爺さんとお婆さんに、
会津民謡バッチリ教えてもらったから、よし、歌ってあげる!

菜々 : え? 大ちゃんが? 歌、上手かったっけ?
大介 : 失敬な! これでも、カラオケ大会で優勝したことあるんだぞ!
菜々 : どこのカラオケ大会?
大介 : 笹塚観音通り商店街!
菜々 : まあ、超ローカル。でも、いいわ、聴いてあげる!
大介 : よし、行くぞう!
菜々 : いよっ! 待ってました。ピューピューー!
大介 : ♪エイヤー! 会津磐梯山は 宝の山よ
笹に黄金が エー またなりさがる
♪小原庄助さん なんで身上つぶした
朝寝、朝酒、朝湯が大好きで
それで身上つぶした
もっともだ もっともだ
菜々 : 拍手! パチパチパチ! まあ、大ちゃん、見なおしたわ!
声もいいし、歌、うまいね!
大介 : だろ! 超ローカルのカラオケ大会でも、優勝は優勝だからね。
菜々 : おみそれしましたですう。ところで大ちゃん、
「小原庄助べんとう」
があるくらいだから、小原庄助さんは、郡山の人?
大介 : それがね、謎の人なんだよ。でもね、民謡「会津磐梯山」に、
小原庄助さんが登場するんだから、会津の人は間違いないと思うよ。
それがなぜ、郡山の駅弁かといえば、会津の玄関が中通りの郡山だからね。
菜々 : 中通り?
大介 : うん。福島県は昔から、浜通り、中通り、会津の3地方から成り立っていたんだ。
浜通りは常磐線の走っている太平洋岸だね。
中通りが、東北本線。
白河、郡山、福島のルート。
菜々 : なるほど、会津は中通りの郡山から磐越西線ね。
大介 : ピンポーン! 確かに、小原庄助さんは謎の人なんだけど、
中通りの白河にはお墓があるんだよ。
菜々 : え? 本当?
大介 : うん。そのお墓にはね、「会津塗師、久五郎の墓、小原庄助とはこの人である。
この地で安政5年没す。戒名、米汁呑了居士、辞世の句、
朝によし、昼になおよし、
晩によし、飯前飯後その間もよし」って、
書いてあるんだよ。
菜々 : まあ、楽しいお墓! ねえ、そのお墓、どんな形なの?
大介 : それがね、徳利の上にお銚子を載せた墓石さ!
(事実である。小原庄助の墓は福島県白河市皇徳寺)