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駅弁ひとり旅・こぼれ話

第81話

磯の鮑の片想い

「磯の鮑の片想い」って、ユニークな駅弁の名前ね。
誰がネーミングしたの?

当ててごらん! 菜々ちゃんの大好きな人だよ。

菜々 : ええ? 私の知ってる人? 会ったことあるの?
大介 : うん、まーね。来年も1月8日には会えるかもよ。京王駅弁大会で。
菜々 : うーッ、わ、わかった! 魚元の女将さんだ!
大介 : ピンポン、ピンポーン!
菜々 : やっぱしね。駅弁に「磯の鮑の片想い」なんていうロマンチックな名前付けちゃう
人って、やっぱ、詩人だと思うんだな。菜々としては。大ちゃんは思いつかないでしょう。
大介 : し、失敬な。僕だって、思いつくよ!
菜々 : じゃ、「磯の鮑の片想い」の意味は?
大介 : 意味? そ、そ、それはね、磯の鮑が片想いしたんだな……。
菜々 : 誰に?
大介 : 誰にって、そんなの関係ないよ。鮑の勝手だろう。駅弁は旨ければいいの!
菜々 : ほら、何にも知らないんだから。では、魚元の女将さんに成り代わって、お教えし
ませう。コホン、2枚貝の場合は、左右がピタリ一致することから、平安時代の昔より
「貝合」という遊びが流行しました。
鮑の場合は1枚貝。相手がいないことから「片想い」の象徴とされて
きたのです。
大介 : なーるほど。それで「鮑の片想い」ね。でも、片想いのままでいいのか、鮑は。
菜々 : 最後まで、若女将の話は聞くものよ! 1枚貝と思われていた鮑ですが、実際には
巻き貝。殻の口が大きいので巻き貝に見えなかったわけね。
大介 : いやー、勉強になるなあ。いよ、若女将!
菜々 : うーん、照れるな。じゃ、今度は私からの質問。今回の岩泉線って、日本一のロー
カル線ですって?
大介 : うーん、残念ながら事実だね。なんたって、1日の列車本数が3往復+区間列車1
往復の合計4往復だもん。例えば、岩泉駅の発車時刻は、朝の一番列車8時1分発
の次は、夕方の17時20分発で、その次が最終の19時33分発なのさ。
菜々 : うんまあ! 朝、8時1分に乗り遅れると、9時間19分後ってわけ? チョー信
じられな~い。
大介 : うん、まあ、利用客の大半が高校生だから学校の始業に合わせてのダイヤなんだけ
ど、通勤の人はほとんどマイカーだそうだよ。
菜々 : うん。その気持ち、わかるかも。私だって、次が9時間後っていわれたら、クルマ
買っちゃうもん。
大介 : あ、その前に、免許取らないとね。