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駅弁ひとり旅・こぼれ話

第74話

あったけえきりたんぽ弁当

大ちゃん、漫画アクション連載の『駅弁ひとり旅』、
ついに五能線登場だね。私、前から憧れてたんだ、五能線に。
「究極のローカル線」「日本一の海列車」「絶景冬列車」なんでしょう?
旅行雑誌にそう載ってたもん。

うん、究極のローカル線ってのは、 何が究極なのか分からないけど、
「海列車」と「絶景冬列車」は間違いないね。僕もそう思っている。
五能線は東能代~川部間の 全長約150km中、八森~鰺ヶ沢間の
80kmが着かず離れず日本海に沿って走るんだよ。
もっとも、今は夏だから「絶景冬列車」は味わえないけどね。

菜々 : ふーん、およそ半分が海列車か。それなら「絶景夏列車」だい!
大介 : 日本海が見え始めえる「八森」って聞いたことないかい?
菜々 : ハチモリ? ハテナ? 分からない、ヒントは?
大介 : ヒントは、秋田名物! ハタハタ! 民謡! 金沢明子!
菜々 : え? 秋田名物? 魚のハタハタは分かるけど、金沢明子? ワカラナーイ!
大介 : それじゃ、オイラが歌うぞ! 民謡界の百恵ちゃんこと金沢明子の声色で、
「♪ヤートセー コラ秋田音頭です。コラ秋田名物、八森鰰々(ハタハタ)、
男鹿で男鹿ブリコ、能代春慶、桧山納豆、大館曲わっぱ……」
菜々 : パチ、パチ、パチ! 大ちゃん、歌うまいね、見直しちゃった。
そっか、秋田音頭ね、聞いたことあるわ。なーるほど、歌詞は秋田の名物ってわけね。
大介 : ピンポーン! 秋田名物のイの一番が、八森の鰰々(ハタハタ)なんだよ。
菜々 : 2番目が男鹿のブリコね。ブリコって、もちろん鰤の卵のことでしょ?
大介 : ブッブー! ブリの卵なんて食べたことある? 実はね、ハタハタの卵のことさ。
菜々 : えー、知らなかった。鰰々の卵がブリコだなんて。おもしろーい!
そうだ、大ちゃん、「♪コラ秋田名物、一番、美味しい、駅弁なんですか?」
大介 : 「♪コラ秋田名物、一番、美味しい、駅弁、きりたんぽ!」
菜々 : キリタンポですって? 鍋じゃない? 本当に駅弁なの?
大介 : 駅弁だよ! ほら、見てご覧、「あったけえきりたんぽ弁当」1200円!
菜々 : す、すごーい! あったけえ、きりたんぽってことは、この紐を引くとジュ!って
加熱されるわけね。オー、アチチチ!
大介 : さあ、熱々のきりたんぽを食べよう。ふー、ふー、おー、うま!
菜々 : ところで大ちゃん、キリタンポって、杉の棒に刺さってるけど、
これって、秋田風の竹輪かしらん?
大介 : これまた、ブッブー! 確かに竹輪に見えるけど、よく見てご覧、粒々があるだろ?
これ、ご飯なんだよ。つまり、きりたんぽとは、杉の棒につぶしたご飯を
竹輪のように巻き付けて、焼いたものなんだよ。
菜々 : それを駅弁にしちゃうなんて、秋田の人、すごい! 
「♪コラ秋田名物、秋田の駅弁、あったけえきりたんぽ弁当!」 字余り!