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駅弁ひとり旅・こぼれ話

第70話

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今回の列車は、札幌始発、
青森行きの夜行急行列車「はまなす号」ね。
急行って、私鉄には結構多いけど、JRでは珍しいんじゃないの?

うん、そうだね。オイラが学生のころ、 つまり国鉄時代はまだ
急行が多かったけど、 いつしかみーんな特急になっちゃった。
急行があるからこそ特別な急行、つまり、特急なのに、
急行は無くなって、特急だけってのは変だよね。

菜々 : あー、特急って、特別急行の略なんだ。そっか、言われてみれば、なーるほど。
ところで大ちゃん、外国では急行と特急の違いはちゃんとあるの?
大介 : うん。いい質問だ。例えば、オリエント急行は「オリエント・エクスプレス」。
スイスの「氷河急行」も、「グレイシャー・エクスプレス」だよ。
ところが、アメリカには「リミテッド・エクスプレス」が存在する。
最高の急行っていう意味なんだけど、「リミテッド」は最高だから1路線に1列車しかないんだ。
ところが、JRの新幹線の英語表記は「スーパー・エクスプレス」、ま、これはOKだけど、
在来線の特急はすべて「リミテッド・エクスプレス」。
菜々 : えー? 普通の「エクスプレス」はなくて、「リミテッド・エクスプレス」ばかり?
それって、変だよね?
大介 : うん。日本では特急ばっかりだから、急行が死語になりつつある。ほら、
これはスイスツアーの広告だけど、「憧れの氷河特急に乗車!」って、書いてあるよ。
スイスでも氷河急行の英語名は「グレイシャー・エクスプレス」。
だから、特急は明らかに間違いなんだけど。ということは厳密には誇大広告ってわけさ。
菜々 : ふむふむ。「はまなす号」は日本では数少ない本物の急行ってわけね。
大介 : ピンポーン! ちなみに、夜行の急行は、
今年3月のダイヤ改正で東京~大阪間の寝台急行
「銀河」が廃止されたので、「はまなす」のほか、「きたぐに」(大阪~新潟)、
「能登」(上野~金沢)の3夜行急行列車のみなのさ。
菜々 : みんな寝台列車?
大介 : ううん、純粋な寝台列車は「銀河」だけ。「きたぐに」は寝台車と座席車の混成。
「能登」はオール座席車。そして「はまなす」は寝台車2両、座席車4両、
カーペットカー1両さ。
菜々 : なーに? そのカーペットなんたらって?
大介 : カーペットカーさ。船の升席のように、床にカーペットが敷き詰めてある車両だよ。
菜々 : えー、本当? カーペットで、ごろ寝というわけね。楽しそう!
大介 : 寝台車とは異なり、指定料金だけで安く利用できるし、毛布などの寝具も付いてるから、
座席よりずっと快適だね。唯一の欠点は、隣人の鼾がうるさいこと。
菜々 : それは、運悪く、大ちゃんと乗り合わせた人だけよ。