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駅弁ひとり旅・こぼれ話

第61話

漫画アクション「駅弁ひとり旅」では、これまでも
C11とかD51などの蒸気機関車が登場してきたけど、
第61話の今回登場する蒸気機関車は「21」っていう数字だけ。
CとかDがつかないのはなぜなの?

実はね、実際にはCとかDなどアルファベットが付かない
蒸気機関車の方が多いんだよ。動軸の数を表すアルファベットが
使われるようになったのは、昭和になってからで、
明治~大正時代の蒸気機関車は、8620形とか、9600形とか、
数字だけの形式だったんだ。それが9900形(後のD50)以降は
1万を超えることになり、数字の桁が多すぎるから
アルファベットで補うようになったというわけさ。

菜々 : ふーん。じゃ、この「21」は明治~大正時代の蒸気機関車なのね。
大介 : ううん。アルファベットで補うようになったのは国鉄でのこと。
今回の「21」は、国鉄ではなく丸瀬布のムリイ森林鉄道を走っていた専用蒸気機関車。
その21号ということで、国鉄の機関車方式のような形式は必要なかったわけ。
ただし単に「21号」ではなく、「雨宮(あめみや)21号」って呼ばれてた。
菜々 : 雨宮って?
大介 : 明治時代の実業家で鉄道の神様、雨宮敬次郎のこと。
甲斐(山梨県)の農家の生まれで少年時代から行商で商才を発揮したんだ。
生糸、製粉、開墾、植林などに活躍し、1888年以降は鉄道の建設に大活躍したんだ。
そして東京の深川に創設した鉄道車両工場の雨宮製作所。
そこで造られた機関車だから「雨宮21号」ってわけ。
菜々 : ずいぶん可愛らしいのね。
大介 : うん。森の中は斜面もあれば渓流もある。森林鉄道はそんな森の中を走っているから、
機関車も何もかも小型のほうが使いやすかったのさ。
線路の幅も762ミリというナロー・ゲージだよ。
菜々 : ナローって、狭いっていう意味ね。ゲージは軌間だから、日本語では狭軌間?
大介 : 日本語では狭軌が一般的だよ。でもね、国際標準の標準軌1435ミリが
スタンダード・ゲージなのに対し、JR在来線の1067ミリがすでにナロー・ゲージなので、
さらに狭い762ミリは、狭々軌って記している本もあるよ。
菜々 : 狭々軌って、本当に狭そうね。
大介 : でもね、762ミリよりもっと狭いゲージもあるよ。610ミリとか381ミリ。
菜々 : 381ミリ? ホント? たった381ミリで、本当に走れるの?
大介 : うん、本当だよ。場所はイギリス。
鉄道の名前は「ロムニー・ハイス&ディムチャーチ鉄道」。
遊園地のミニ鉄道なんかじゃなくて、英国運輸省監督下の公共交通機関なんだよ。
もちろん世界最小の鉄道さ。
菜々 : ロムニー鉄道も乗ってみたいわ!