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駅弁ひとり旅・こぼれ話

第48話

母恋めし

夕月 : 大介さ~ん! こんにち~は! 新入社員の夕月麗華で~す。

お、これは、これは。八頭身美人の夕月君じゃんか、宝塚、じゃなかった、札幌歌劇団の夕月麗華ちゃんか、元気にしてた?

夕月 : は~い! と、言いたいとこだけど、やっぱ、きついっす。「漫画アクション」って、だって完全に体育会系で、私のような宝塚文学系出身には、ちょっと……。
仔阪 : うりゃー、どすこい! わてが、夕月の先輩の仔阪や。おい、夕月、なんや不満でもあるんか? ちょっと……何やと?
夕月 : い、いえ、ちょっと、じゃなくて、チョーうれひい。
仔阪 : よっしゃ。それでええ。ほたら、大介さんから、ええ、駅便情報、聞いて来いや。
夕月 : せ、せ、先輩! 駅便じゃなくて、駅弁です。そうか、仔阪先輩、それで、編集部、クビになったのですことね。
仔阪 : じゃかーしい。台湾では「鐵路便當」言うんじゃ。ほんまやで。
★台湾の東立出版社より「駅弁ひとり旅」の中国語翻訳版「鐵路便當之旅」好評発売中。
大介 : ハッハッハ。駅弁と駅便を間違えて、それで仔阪君、人事異動ってわけか。まあ、編集者たるもの、文字には気をつけないとね、夕月君も。
夕月 :は~い、新入社員、夕月麗華、頑張ります! あ、仔阪先輩! お疲れ様でした。お帰りは、そちらです。
ということで、大介さん。今回の駅弁って、ロマンチックな名前ですね!
大介 : 「母恋めし」のことかい? うん、「母さんが恋しい」って書くから、昔から人気があったんだよ。特に母の日には、入場券が売り切れちゃうほどの人気さ。
夕月 : へー、母恋って、駅名だったんですね。ロマンチックな駅名だわ。
大介 : でもね、もともとは、アイヌ語の「ポク・オイ」から来てるんだ。「ポク・オイ」を漢字に当てはめて、母恋ってなったそうだよ。
夕月 : まあ、おもしろい! 学校では平仮名とカタカナは表音文字、漢字は表意文字って習ったけど、漢字にも表音文字があるんだ。ところで、ポク・オイの意味は?
大介 : うん、ホッキ貝がたくさんいる場所。
夕月 : まあ、ホッキ貝のこと。これまたおもしろいこと。ということは「母恋めし」って、もしかして、「ホッキ飯」ってことかしらん。
大介 : ピンポーン! 大正解! 夕月君て、八頭身美人な上に、すこぶる秀才だね! 前任の仔阪君は、三頭身だから、当然頭いいはずなのに、悪かったからな。