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駅弁ひとり旅・こぼれ話

第45話

鰊みがき弁当

Q : いよいよ函館ですね。函館といえば、朝市、イカソーメン、海峡ラーメンなど、函館の味覚もいろいろあるけど、函館の駅弁は?

うん。今でこそ函館の駅弁も複数の業者さんが扱うようになったけど、なんたって老舗は昭和11年創業の「みかど」さんだ。その中でも、とりわけ伝統的かつ伝説的な駅弁が、今回の主役、「鰊みがき弁当」(840円)だよ。

Q:鰊の駅弁って珍しいですよね。他にどこかの駅にありますか?
大介:鰊の駅弁は、ないことはないんだが、堂々と「鰊みがき」って謳ってるのは函館だけだね。それから、実は僕、「鰊」が大好物なんだ。思えば子供のころ、冬になると田舎の婆ちゃんが、鰊の甘露煮を作ってくれたんだよ。それがうれしくてね。でも、婆ちゃん、僕が中学生の時、病気で亡くなっちゃってね。悲しかったなあ。もう、婆ちゃんの鰊の甘露煮は絶対に食べられないんだって思うと。
ところが、高校2年生の冬休み、初めて北海道に来たんだ。その年(1988年)の3月31日限りで、青函連絡船がなくなっちゃうから、その前に乗りにきたんだよ。その時、食べたのが函館駅の「鰊みがき弁当」。その鰊が、味といい、香りといい、歯ごたえといい、婆ちゃんの鰊にそっくり。もう、うれしくて涙が出たね。
Q:ふーん、そんな思い出があるんだ。ところで当時は、他にはどんな駅弁があったの?
大介:もう一つ、函館駅の思い出の駅弁は「つぶ貝弁当」さ。これはね、なんと今年の、京王百貨店駅弁大会で復刻版が販売されて、これまたうれしかったな。それもこれも、老舗「みかど」さんが当時の掛け紙や容器、それにレシピを保存しておいてくれたから可能なこと。「みかど」さん、どうも、ありがとう!
Q:最後に鉄っちゃんや、鉄子向けの、函館デートスポットを教えて?
大介:やっぱ、函館市電でしょ。北海道の路面電車は函館市電と札幌市電の二つしか残ってないけど、路線も長いし、車両のユニークさからいっても、断然、函館市電でしょう。元都電の7000形や、箱館ハイカラ號、カラオケ電車もあるし、低床の新型連節車ももうすぐ登場するよ。冬になれば、ササラ電車も走る。市電以外では、思い出の青函連絡船「摩周丸」も、ぜひ見学してね。