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駅弁ひとり旅・こぼれ話

第150話

我孫子駅「唐揚げそば」360円 弥生軒

我孫子駅の行列ができる立ち食いお蕎麦屋さんて、すごいわね!
あの大きな唐揚げ! まるで大ちゃんみたい!

ん? 大ちゃんみたい? それって、どういう意味?

菜々 : お、大きいってこと。す、す、素晴らしいってことヨ。(汗)
大介 : ま、いっか。我孫子駅の弥生軒の唐揚げそば、確かにすごいよ!
大介、感激!
菜々 : ねえ、ねえ、美味しかった? 唐揚げ1コじゃなくて、2コ食べたかった?
大介 : もちろん! 唐揚げだけ食べてもパリッとしてて、中はジューシーで、
それが鰹と鯖の風味も豊かな麺つゆと絡まると、食感も味わいも変化して、
1コで二度美味しい唐揚げだよ! だから、僕は唐揚げ1コでも充分なのさ。
菜々 : ウソおっしゃい! ほんとは2コ入り食べたかったくせに、強がり言っちゃって! 
泣く泣く1コで我慢したのは、そのメタボ腹のせいでしょ?
大介 : グサっ! 傷つくなあ、最近の菜々ちゃんは、すっかり週刊アクションの中阪デスクの
毒舌が身についちゃって。でも、本当のことを言えば、2コ頼もうと思ったけど、唐揚げが
売り切れそうだったから遠慮したのさ。だって、僕の前に並んでたお姉さんが、
いきなり、「唐揚げ10コ、お持ち帰り!」って言うんだもん。
菜々 : まあ! 唐揚げだけ、10コ? その人、どんな風だった?
大介 :顔は見なかったけど、お化粧が超濃くて、香水きつかったなぁ。
菜々 : もしかして、バーのマダムかしら。
1コ120円の唐揚げが、1万円のオードブルに化けちゃったりして……フフフ。
大介 :もし、それが本当だとしたら、山下清さんが悲しむよ!
菜々 : そうそう、弥生軒さんは以前は我孫子駅の駅弁屋さんで、あの放浪好きの天才画家、
山下清さんが勤めてたんですってねえ。
大介 : うん。昭和15年から通算5年間というから、ちょうど太平洋戦争のころだね。
菜々 : 当然、食糧難の時代でしょう?
大介 : そこは天才のインスピレーション。
弥生軒さんならきっと腹一杯食べさせてもらえるって直感したんだろうね。
菜々 : 当時のお弁当はどんな内容だったんだろう?
大介 : 実は2009年の京王駅弁大会で復刻版が発売されたけど、焼鮭が入った質素な
日の丸弁当、素朴な味わいだったねえ。
菜々 : まあ、それって、メタボの人にはちょうどいいんじゃない?
例えば、大ちゃんとか? 弥生軒の三代目の社長さん、植崎和基社長に
提案しちゃおうかな?
大介 : メタボ弁当もいいけれど、僕は、唐揚げ弁当作ってほしいな!
菜々 : でも、大変よ。あれだけ大きな唐揚げが入るお弁当箱ってないもん。
大介 : それなら、ご飯と唐揚げをセパレートにしたらどうかな?
つまり、二段重のスタイルで。
菜々 : そしたら、バーのマダム、「唐揚げ弁当お持ち帰り10コ! 
ご飯はいらないわ!」って言うのかしら。