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駅弁ひとり旅・こぼれ話

第134話

甲府駅「風林火山」

大ちゃん。勝沼ぶどう郷のトンネル歩き、楽しかったね!

うん、大日影トンネルのことかい?

菜々 : そうそう! 大日影トンネル遊歩道よ。全長1400m、こんなに長いトンネル歩いたの
生まれて初めてかも。とっても長かったわ。
大介 : 直線のトンネルだから最初から出口は小さく見えてるんだけど、歩いても歩いても、
ちっとも出口は大きくならなかったなあ。
菜々 : あら、それは大ちゃんが遅かったからよ。もっと、さっさと歩かなきゃ、駄目でしょう。
だから、メタボが治らない。
大介 : うう! 一番、痛いところを……。
菜々 : ところで、勝沼ぶどう郷駅は、昔は勝沼駅だったの?
大介 : うん、そうだよ。「ぶどう郷」が付け加えられたのは1993年のことさ。
そうだ! 国鉄時代の中央本線の車掌さんが「中央線から見える山」っていう本に
書いているんだけど、当時の勝沼駅からね、思入山(おもれやま)が見えたんだって!
菜々 : え? 思入山ですって? どーいう意味?
大介 : うん。なんでも、今から200年近く前に書かれた「甲斐国志」に、
「思入山は婦女の臥容に似たり」って出てるんだよ。
菜々 : え? どの山がその思入山なの?
大介 : だから、勝沼ぶどう郷駅、昔の勝沼駅のプラットホームから眺めた
目の前の「ワインセンター」のある丘のことだよ。
菜々 : ワインセンターの丘が、思入山? どーして? 全然わかんない。
大介 : ほら、「ワインセンター」をお腹だとすれば、その左側の箭羽山がふたつのバ・ス・ト。
菜々 : バ、バストですって?
大介 : あ、やば。困ったなあ。
菜々 : 正直に言いなさい。正直に言えば許してあげるから。
大介 : うーん。「ワインセンター」の右の一本の木がおへそ。
菜々 : おへそ? なーるほど、ずいぶんデベソね。
ということは、おへその右のこんもりとした丘は?
大介 : うん。ビーナスの丘さ。
菜々 : な、な、なんですって? いやらしい、大ちゃんのドH!
バカ、バカ、バカ! もう、絶対許さない!
大介 : ヒー! たった今、正直に言えば許してあげるからって言ったじゃない、菜々ちゃん。
女に二言はないの?
菜々 : あるわけないでしょ。だから、バカ、バカ、バカなのよ。
大介 : あーあ、まいったまいった!
菜々 : それじゃ、お詫びに、甲府の駅弁奢って?
大介 : ハイ、わかりました。それでは、「風林火山」はいかがっすか?
菜々 : 風林火山といえば、武田信玄の旗印ね。
大介 : うん。速きこと風のごとく!
菜々 : 大ちゃんとは正反対!
大介 : ドテ!