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駅弁ひとり旅・こぼれ話

第129話

豊橋駅(稲荷寿し・手筒花火)

天竜浜名湖鉄道って、「鉄道の原風景」っていうのね。
素敵だわ。なぜか懐かしくてぐっときちゃったわ。

え? 菜々ちゃんわかるのかい? 
天浜線イコール国鉄時代の風景
だよ。懐かしいって言っても、菜々ちゃんはリアルタイムで国鉄の記憶あるのかな?

菜々 : 生まれた頃は国鉄だけど、物心ついた頃には、もうJRだったわ。
けれど、この言いようのない懐かしさは何だろう?
大介 :きっと、お爺さんや、お祖母さん、それにご両親から受け継がれた
記憶かもね。
菜々 : もしかして、これってデジャブの一種かな?
大介 : うん。そうかも。生まれて初めて来たはずなのに、懐かしいと感じる、
デジャブ、既視感のことだね。
菜々 : 不思議ね。
大介 : うん、確かに。僕も旅行中によくあるよ。初めて来たのに懐かしい味って。
菜々 : え? 大ちゃん、それってデジャブとは違うんじゃないの?
単なる食いしん坊のことだったりして。
大介 : タハ! 菜々ちゃんには適わないなあ。
菜々 : ところで、天竜浜名湖鉄道で昭和の鉄道の原風景がもっとも残っている駅は
どこ?
大介 : いろいろあるけど、やっぱ、天竜二俣駅だね。駅舎だけじゃなくて、
機関区や扇形庫、転車台など、何もかも昭和の頃の国鉄そのもの。
菜々 : ふーん、すごいのね。その天竜二俣駅の駅弁は?
大介 : 天竜二俣駅から徒歩5分の老舗料亭「三好」謹製「さくらどんこ弁当」
1000円!
菜々 : どんこって、椎茸のことよね。じゃあ、さくらは桜の花?
それとも馬肉のことかしら?
大介 : 椎茸は正解だけど、さくらは、どっちも、ブッブー!だね。
菜々 : ええ? 違うのか。さくら、何だろう? 
まさか、九州新幹線「さくら」号のことじゃないわよね。
大介 : 正解はね、茶飯のこと。お醤油ベースの炊き込みご飯のことさ。
菜々 : 炊き込みご飯のことを、さくらって言うの?知らなかったわ!
大介 : ただし、さくらご飯は、天竜地方ならではの言い方だから、
菜々ちゃんが知らなくても無理ないけどね。
菜々 : あー、よかった、ほっとしたわ。
ねえ、大ちゃん、天竜二俣のさくらご飯ってどんな味?
大介 : うーむ、難しい質問だが、例えて云うなら「美空ひばり味」かな?
菜々 : え? 美空ひばりですって?
大介 : うん。料亭「三好」さんはね、今は料亭だけど、
創業当時から昭和56年までは旅館だったそうだよ。
菜々 : 天竜二俣きっての老舗旅館だったわけね。 
大介 : そう! 三好旅館! なんと、美空ひばりさんの常宿だったのさ。
菜々 : えー! それじゃ、美空ひばりさんも食べた「さくらご飯」!?
大介 : 大ピンポーン!